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プロレスってショーなの? 真剣勝負もあるの?

公開日: : 最終更新日:2019/07/03 武道紹介

 

 

私が小さな頃は丁度、プロレスがブームでした。

 

派手な動きをするプロレスですが、小さな頃はそれが本物なのか、演技なのかと考える事もなく、見て楽しんでいました。

 

徐々に大きくなっていくにつれて、プロレスに不自然さを感じてきましたが、本人たちは大真面目にやっているので、それを否定しにくい感じがしました。

 

そして「プロレスは八百長だ」と罵倒する人達も現れました。

 

そしてUWFがブームを起こす現象もありましたが、

後にPRIDE等のプロ格闘技のブームの影に隠れて、表に出てこなくなったという感じがしますね。

 

今回はそんなプロレスについて書いてみたいと思います。

 

1、ワーク? セメント? シュート?

2、UWFは格闘技だったのか?

3、エキジビションマッチか、シュートなのか

 

 

1、ワーク? セメント? シュート?

今でこそ、様々な暴露本が出た頃もあり(「ケーフェイ」「流血の魔術 最強の演技」等)

プロレスは約束事のあるショーだと認識されていますが、

以前はそんな告白をする人はいなかったので、プロレスリングはプロボクシング等と同様の競技スポーツ、真剣勝負だと信じられていました。

 

それだけに、その不自然な試合内容には強い批判もありました。

 

なので、むしろそういう事実をカミングアウトせずに、競技を装い続けていたら、ずっと「八百長だ」という批判が続いていたでしょう。

 

現在の多くの人は認識していますが、プロレスは競技の八百長ではなく、もともと格闘演劇、格闘ショーとする事で、そのジャンルに納得がいくようになっています。

 

 

通常、興業でリングの上で行われているのは”ワーク”と呼ばれる、ショーとしての闘いです。

ですが、普段の練習では真剣にスパーリングをする事もあり、それは”セメント”と呼ばれます。

或いは”シュート”と呼ばれたりします。

 

通常の格闘競技では真剣に勝負するのは当たり前なだけに「真剣勝負」という言い方をする人はいません。

むしろプロ格闘技では、時折、”エキジビションマッチ”と言う、観客に見せるための試合を行う事があります。

 

”セメント””シュート”と言う言葉が存在するプロレスとは対照的ですね。

 

プロレスは基本的にワークなのですが、希にシュートマッチになってしまうケースもあります。

 

ミスター高橋の本である「流血の魔術 最強の演技」では、

アントニオ猪木が真剣勝負をしたのは、モハメド・アリ戦とアクラム・ペールワン戦の2試合のみと言い切っています。

モハメド・アリ戦は猪木から仕掛けたものであり、アクラム・ペールワン戦は相手から仕掛けられたものでした。

 

そして前田日明がアンドレ・ザ・ジャイアントからシュートマッチを仕掛けられた事もありました。

 

こういう試合はむしろ、普通の格闘技以上の緊張感がある物ですが、ごく希なケースです。

 

また前田日明は、長州力の顔面に本気の蹴りを入れてしまい、新日本プロレスを追放されたという事もありました。

 

初代タイガーマスクとして人気絶頂だった佐山聡はプロレスを辞め、「シューティング」と言う格闘技を始めました。

他のスポーツ同様の、真剣に行う格闘競技です。

 

このことからもプロレスは原則的には約束事のショーだと分かると思います。

(とは言え、体力的にはかなりハイレベルでないと出来ません。

 プロレスファンで、プロレスを最強と言いたがる人は、

格闘競技よりもハードな内容のショーを行っているという意味で言ったりします。)

 

 

 

 

2、UWFは格闘技だったのか?

 

かつてUWFがブームになった事があります。

 

第1次UWFは佐山聡もスーパータイガーとして参戦し、UWFを本気でスポーツ競技化しようという考えもあったようですが、皆の賛同を得られずに断念。

プロレスを去り、シューティングを始める事になります。

 

ブームになったのは前田日明がリーダーとなった第2次UWFです。

 

確かベースボールマガジン社の雑誌「格闘技通信」もUWFのブームによって生まれたのだったと思います。

私もこの雑誌を愛読していました。

 

「プロレスって言葉が嫌いな人、この指と~まれ」

というようなキャッチコピーもあり、UWFはプロレスではなく格闘技だという主張していました。

 

また同時期に話題になったのが大仁田厚のFMWですが、

こちらは逆に有刺鉄線電流デスマッチのような、過激なパフォーマンスとしてのプロレスで人気を得ました。

 

当時はFMWを”極”プロレス

UWFを”脱”プロレス、と表現されたりしました。

 

 

ですが、UWFの試合はTV放送される事はなく、実際の会場に足を運ばないと見れません。

当時、私もこれだけ話題になっているUWFが気になりつつも、その実態を知る事が出来ませんでした。

 

そして一度、TVの深夜放送でUWF紹介の番組があって見てみたのですが、

その試合のダイジェストを見てみた感想としては、

「これもショーじゃないの……?」

という感じでした。

 

UWFは従来のプロレスのような、ロープに振って跳ね返ってきたり、場外乱闘や凶器攻撃という大袈裟なパフォーマンスが無くなったというだけで、

本気で闘っているように見せようとしているだけの、擬似格闘を行うプロレス、という感じでした。

 

UWFは、「八百長だ」と罵声を浴びせられて劣等感を抱いていたプロレスファンの心の支えになる、という奇妙な心理から起きた不思議なブームだったのです。

 

しかし実態はやはり約束事のプロレスである事から、むしろ

「格闘技を装いながら、実はプロレスをしていたUWFこそが本当の八百長だ」

という批判まで出てきたものです。

 

 

 

 

3、エキジビションマッチか、シュートなのか

その後、UWFも分裂し、リングス、UWFインターナショナル、藤原組、パンクラス等に分かれました。

 

私が直接見たものは少ないので何とも言えないのですが、

UWFも格闘技ではない、という批判があったためか、

その後はかなり真剣勝負に近い試合内容の物もあり、プロレスなのか、格闘技なのか、判断が難しい状況であったそうです。

 

その後、アメリカのUFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)という、ほぼノールールの格闘技大会が話題になり、総合格闘技ブームを起こしていきます。

 

その大会で優勝したグレイシー柔術が最強と言われるようになり、

UWFインターナショナルの安生洋二がヒクソン・グレイシーの道場に道場破りに行き、返り討ちにあうと言う事件もありました。

 

そして日本でPRIDE1という格闘技興業でUWFインターナショナルの代表の高田延彦とヒクソン・グレイシーの対戦が実現しましたが、高田延彦は1Rで敗退し、UWFの幻想は一気に崩れ去っていきました。

やはりUWFもプロレスに過ぎない、という感じでした。

 

その後、レスリングの実績がある桜庭和志が個人的に総合格闘技の試合でも活躍し、

「プロレスラーって、本当は強いんです」

とアピールしましたが、それは個人単位の話で、プロレスの実力と格闘技の実力が別物と証明したような物です。

 

 

 

これも時代の変化です。

プロレスも最初は普通の競技であったはずですが、地味なセメントの試合では観客を呼べないと、ショーになっていきました。

佐山聡のシューティングも理解されませんでした。

 

その後、UWF等を通して、観客も段々、地味な関節技の知識も得て、より真剣な勝負が見たいという欲求が出てきて、現在になって総合格闘技の興業が成立するようになったのです。

 

 

以前は、プロレスは格闘技なのかショーなのかどうか、認識が曖昧なため

「八百長だ」という批判も出ましたが、

現在では比較的、その線引きがはっきりされています。

(UWF系の団体の立場が微妙なので、むしろ批判の対象になる事がありますが…)

 

 

プロレスラーが格闘技の試合に出る事もあるし、

格闘家がプロレスをする事もあります。

 

格闘家がプロレスをするのは「エキジビションマッチ」という感覚なのでしょうし、

プロレスラーが格闘技の試合に出るのは「シュート」という感じなのでしょう。

 

 

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    武道と旅と昼寝が好きな怠け者。

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    武術太極拳 アジア選手権・世界選手権 日本代表

     

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